フジサルの戦術メモ

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僕がブスケツを評価する本当の理由2

今回の記事は「僕がブスケツを評価する本当の理由」の第二章となります。もし第一章を見ていないという方がいれば「僕がブスケツを評価する本当の理由」を見ると、より一層、評価する理由が読み解けると思います。

 

そんな第二章で取り上げるのはこのシーンです。

 

どうぞ。

簡単な解説

CBからのパスを受けたブスケツはそのままシャビへ出すのではなく、一度CBに返して食いつかせてからシャビへ、という選択をするシーンです。

 

ブスケツからしたら、そのまま出すことも可能な配置ですが、なぜバックパスを一度挟んだのでしょう?そして、バックパスを挟んだことで、相手に与えた影響はあるのでしょうか?今回はその部分にフォーカスして読み解いていきます。

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ブスケツがバックパスを挟んだ理由

まず、これには理由が二つあります。一つは相手CFをバックパスに食いつかせて、シャビが受けるためのスペースを確保すること。そして、もう一つはシャビが相手CHとの距離をとるための時間を創ること。この二つです。

シャビが受けるためのスペースの確保

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これはブスケツがピケからの一本目のパスを受けたシーンです。この状況を見ると、相手CFの重心はボールの方向を向いているのがわかります。この状況で相手の重心、相手CFとシャビとの距離を考えると、まだ射程圏内で、そうなると、シャビはプレスを受ける可能性が出てきてしまう。ここで、ブスケツがそのままボールをキープをするという選択肢もありますが、それでは相手の重心が自分に向いているので、プレスを受けることに繋がります。

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次は、ブスケツがバックパスを選択したシーンです。このバックパスによって、相手の重心とシャビとの距離に変化が表れました。それは、相手CFの重心がピケの方向に変わったことと、相手CFとシャビとの距離が開き始めているということです。

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そして、これはブスケツが二本目のパスを受けたシーンです。ここまで来ると相手CFとシャビとの距離がかなり開いています。これだけ離れていて、重心も振られている状態なら、絶対にシャビがプレスを受けることはありません。これで、ブスケツはシャビが受けるためのスペースを確保することができました。

時間創り

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画像だと、少し見にくいのですが、ブスケツはスペースに入る前に一度ルックアップしています。実はこのルックアップしたタイミングではシャビはボールを受けても余裕ができるほどの距離がないのと、このままではブスケツのパスコースもない状態です。シャビが下りてくればパスコースは生まれますが、そのためには時間が必要になります。

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そして、その問題を解決したのもこのバックパスです。このシーンではバックパスを一度挟むことで、その時間を創り出すことができています。その結果、シャビと相手CHとの間には距離が生まれ、相手CFはバックパスに食いつき、シャビは余裕をもって受けられる距離を確立できたというわけです。もちろん、ブスケツ自身のパスコースもできています。

 

この相手CHが捕まえることができない距離をとるシャビのポジショニング。これもまた絶妙で、シャビに食いつけば間へのパスコースが空き、シャビを捨てれば、前を向いて受けらてしまうという位置。とても素晴らしいです。

 

ブスケツが相手に与えた影響

ブスケツが相手に与えた影響は、相手守備組織の間延びです。守備組織が間延びするということは、FW-MF-DFという括りで見た時の3ラインの距離が開いてしまうことで、その距離が開けば開くほどスペースは利用されやすくなります。

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これはバックパスを入れる前のスペースです。

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そして、これがバックパスを入れた後のスペースです。かなり大きな差があるのがわかると思います。これだけのスペースがあればブスケツとシャビはプレッシャーを受けることはなく、シャビからしたらほぼ自由にプレーを選択することができます。もし、仮にこの状況で相手CHがシャビにプレスをかけにくるようなことをすれば、今度はDFとMFとの間で、また更に間延びすることになり、それに連動してDFラインも上げる必要があるので、そうなると、DFラインの裏が簡単に取られてしまう状況になりかねません。

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まとめ

並みの選手だったら、自分がプレッシャーを受けていなければ、前に入れようとしたと思います。ですが、もし、ブスケツがここで前を向いていたら、FW2枚がプレスバックし、スペースは埋められていたでしょう。並みの選手なら、そのタイミングで初めてCBにバックパスを出したと思います。そうなると、FW2枚がシャビとブスケツが使うスペースを埋めている状態になるので必要のないビルドアップをすることになります。ですが、ブスケツは、バックパスをすることで時間とスペースを生み出し、チームとして前進することを選びました。逆算が異次元すぎます。並みの選手にはとても理解できるような選択ではありません。

 

そして、そのブスケツの意図を理解し、自分がプレスを受けながらもGKに返さなかったピケの選択も素晴らしいです。ここでGKまで返してしまったら、ブスケツの意図はそこで途絶え、必要のないビルドアップをすることになっていました。もちろん、バックパスによって広がるスペースを予測し、相手が捕まえることができない距離をとったシャビのポジショニングもとても素晴らしいものがあります。

 

ここまでいろいろなことを話しましたが、このシーン、これだけの要素が詰まっていて、実際にゲーム上でスペースを生み出すために行われた行動は、たったパス3本だけです。これだけ無駄な部分が削ぎ落とされているシーンはなかなか見れないと思います。それに現代では何十本のパスを繋ぐことが評価されることがありますが、本来なら、パスの本数はできるだけシンプルに本数を少なくした方がいいわけです。

 

「サッカーはシンプルだ。しかしシンプルにプレーすることは難しい」
 
というクライフの名言がありますが、本当によくできた言葉だと思います。今回の動画はその象徴のようなシーンで、言い換えるのなら、、、
 
「パスを繋いだのはたった3本だけだ。しかしパスを3本繋ぐのは難しい。」
 
ということです。
 
では、また第三章で。。。。。